簿記のお話ー2(預金について)

※サイト内の例題等で出てくる店名・企業名他はすべて架空のものです。

・預金の取り扱い

前回の復習 現金の仕訳

前回で(現金)は「入る・入金 か 出る・出金」の2つだけ!と学習しました。

仕訳だと  入金の場合

日付  借方科目   金  額   貸方科目    金  額  
     現金   ¥〇〇            
(現金)を ←借方 へ記入します

   出金 の場合

日付  借方科目   金  額   貸方科目    金  額  
                現金   ¥〇〇
                                     貸方→ へ (現金)を記入します。

でしたね。

ところで、実際の業務では、(現金)をいちいち受け渡しするより、「銀行口座間へ振り込み」することが多いようです。また、支払い以外にも(現金)を事務所においておくより「銀行口座」へ預け入れ{いわゆる貯金ですね}します。

そのときに使用する勘定科目が

(〇〇預金)です、〇〇には預金口座の種類が入り、代表的なものは

(当座預金)(普通預金)(定期預金)などです。「検定で指示されています」

では、各預金口座についてみていきましょう

(普通預金)について

事業を開始するときに、銀行口座を作ります。そこで作るのが(普通預金)口座となります。

※難しく考えず、皆さんがお持ちの銀行口座と同じです。

                普通預金の場合               
入金方法は     
・通帳やカードで入金
・コンビニでも可能
・振り込みで入金
  預金通帳あり
   普通預金   
出金方法は     
・通帳やカードで引き出し
・コンビニでも可能
・振り込みで出金

※普通預金{読んでの通り 普通に使っている預金口座}では、入出金は、カードや通帳で行い、銀行の窓口やそれ以外のコンビニのATMなどで、時間帯も結構自由に入出金できますね

銀行口座の仕訳の基本

銀行口座「通帳」へお金を預ける「貯金」する場合を考えてみましょう。

前回の(現金)の仕訳の考え方をベースに考えて結構です。

例①普通預金へ現金¥25,000を預け入れた。

使用する勘定(現金)(普通預金)

日付  借方科目    金  額   貸方科目    金  額  
    25,000      25,000
ヒント:貯金したらサイフのお金は「増える・減る」どっち?

答え:貯金したらサイフのお金は減る=(現金)の減少=出金 なので

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
  普通預金  25,000  現  金  25,000
                      (現金)がなくなったので 貸方→ へ(現金)を書き その原因として
開いている ←借方 へ(普通預金)を書きます。

と仕訳します。

例②普通預金より、現金¥1,000,000を引き出した。

使用する勘定(現金)(普通預金)

ヒント:今度はサイフのお金は(増える)(減る)どっち?

日付  借方科目    金  額   貸方科目    金  額  
    1,000,000      1,000,000

答え:貯金を下ろしたらサイフのお金は、増える=(現金)の増加=入金なので

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
  現  金  1,000,000  普通預金  1,000,000
(現金)が増えたので ←借方 へ(現金)を書き その原因として 開いている 貸方→ へ(普通預金)を書きます。

と仕訳します。

〇〇預金の仕訳のパターン

(〇〇預金)へ預け入れ・預金の増加の場合

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   ○○預金  ¥〇〇  

(〇〇預金)の引き出し・預金の減少の場合

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
     ○○預金  ¥〇〇

普通預金等の補足

実際の現場でも(普通預金)の口座は複数あることが多いです。

みずほ銀行とUFJ銀行に口座があるよ。みたいな場合です。

このような場合は、どの口座でどう取引したかわかるように、勘定科目を工夫することがあります。「検定では、問題の指示に従ってください」

例③当店は、普通預金口座が2つあり、それぞれ(普通預金A銀行)(普通預金B銀行)と勘定科目を作成している。本日(普通預金A銀行)へ¥500,000・(普通預金B銀行)へ¥300,000の現金をそれぞれ預け入れた。

使用する勘定(現金)(普通預金A銀行)(普通預金B銀行)

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
       

ヒント:銀行を分けて考えよう。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
普通預金A銀行
普通預金B銀行
500,000
300,000
  現  金  800,000

注意!

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
普通預金A銀行
普通預金B銀行
500,000
300,000
現  金
現  金 
 
500,000
300,000

貸方科目の(現金)を50万。30万で各々分けていますが、「現金80万出て行った」のでここでは上記仕訳のように(現金)は分けてはいけません。(検定だと×になるようです)

(当座預金)について

(当座預金)は主に決済{お金の支払い}に使われる銀行口座で、特徴は、{通帳やカードはありません・預金利息は付きません・銀行の審査があり誰でもが口座開設できるわけではありません・その他}などいろいろ特徴があります。

                当座預金の場合               
入金方法は     
・銀行窓口で時間内に現金持ち込みで入金
・振り込みで入金
「預金通帳なし」
当座預金
出金方法は     
・小切手の振出 による出金
・約束手形の振出 による出金
※この「通帳無し」が日商2級検定範囲で詳しく問われます。

先の(普通預金)と違い、引き出しに特徴があります。(当座預金)からお金を引き出すには

・小切手を振り出す。 ※前回の(現金)とするものに出てきましたね

・約束手形を振り出す。 ※このセクションではなく後のセクションで詳しく学習します。

等の方法があります。

小切手について

前回の(現金)の学習で「現金とするもの」は以下の通りでした。※一部抜粋

4・「他店振出の」小切手· 「他店」がミソ

このうち 4・「他店振出の」小切手 の逆にあたる「自分が振り出した」小切手

について紹介いたします。

取引と仕訳  当店(自分)の方をご確認ください

他店振出の小切手を受け取った
   他店(A)(振出人)という   小切手の流れ当店(自分)
    小切手の振出  → 「他店振出」小切手の受け取り
 現金¥〇〇 /相手勘定¥〇〇
 現金入金とみなす
その小切手を他店へ渡した(譲渡した)という
   他店(B)小切手の流れ    当店(自分)
    小切手の受け取り  ← 「他店振出」小切手の譲渡
現金¥〇〇 /相手勘定¥〇〇
 現金入金とみなす
相手勘定¥〇〇 /現金¥〇〇
       現金出金とみなす

このように

・「他店振出」小切手の受け取り 現金扱いなので

日付  借方科目   金  額   貸方科目    金  額  
     現金¥〇〇            

と仕訳しますが

(自分が)小切手の振出を行った場合 現金とはせず(当座預金)扱いとなり

日付  借方科目    金  額   貸方科目    金  額 
             当座預金¥〇〇

と、なります。これは、「小切手を振り出して渡した」=「すぐに当座預金から引き落とされる」=(当座預金)のマイナスが発生と考えて仕訳するためです。

同様に「他店の」小切手をもらった方は「この小切手を銀行にもっていけばその場で現金がもらえる」ので(現金)と仕訳けします。

※次の例題の②は、実務ではまず発生しませんが、問題としては成り立ちますので、ごくまれに出題されるようです。

①小切手の振り出し

商品¥650,000を仕入れ、代金として同額の小切手を振り出して支払った。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
仕入50,000当座預金650,000

②商品¥850,000を売り上げ、代金のうち¥200,000は現金で受け取り、
残り¥650,000についてはかつて当店が振り出していた小切手を受け取った

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
現金
当座預金  
200,000
650,000
売上850,000

※ 現金は¥200,000もらったので仕訳にも(現金)とするが

当店「当店とは自分の事」振り出しの小切手なので(現金)とはせず、(当座預金)となります。

今回は ① で小切手が出ていき「当座預金のマイナス」

    ② では小切手が返って「当座預金のプラス:というより①のマイナスの取消」となります。

その他の預金について

・(普通預金)や(普通預金A銀行)などの 普通預金のグループ

・(当座預金)のグループ

・それ以外の○○預金

           定期預金・別段預金(2級)・ゆうちょ・などの○○預金の場合も(普通預金)などと同様に

口座へ入金の場合は「←借方へ:○○預金」

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
 定期預金
積立預金  
¥****
¥****
現金など¥****

口座から引き出しの場合は「○○預金:貸方へ→」

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    現金など     ¥****定期預金
積立預金  
¥****
¥****

例:定期預金¥500,000が満期になったので、全額普通預金へ預け入れた。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   普通預金     500,000  定期預金      500,000

     ↑ 普通預金が増加し         ↑定期預金が減った

例:定期預金口座を開設し、普通預金より\350,000を預け入れた。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   定期預金     350,000  普通預金      350,000

     ↑ 定期預金が増加し         ↑普通預金が減った

○○預金の例題

※問題文の次に ※使う(かもしれない)勘定科目:現金・車両運搬具・当座預金

と勘定科目の候補を書いていますが、使わない勘定も書かれていることがあります。

例題①:商品配達用の車両(トラック)を¥800,000で購入し、代金は全額小切手を振り出して支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・車両運搬具・当座預金

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題②:KH商店より甲商品を@¥360で700個仕入れ、代金のうち¥52,000は現金で支払い、
残りは小切手を振り出して支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・売上・仕入・当座預金

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題③:SS商店へ 甲商品を@¥680で700個売渡し、代金のうち、半分は現金で受け取り、
残額については、同店振り出しの小切手を受け取った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・売上・仕入・当座預金

※※簿記の問題文では、当店=自分・同店=相手店、今回はSS商店 の事を表します

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題④:株式会社設立に際し、株式500株を1株当たり¥20,000で発行し、その全額が当座預金口座へ払い込まれた。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・資本金・当座預金

※※「株式の発行=(資本金)とします」

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題⑤:普通預金口座から定期預金口座へ¥3,800,000を振替えた。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・定期預金

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題⑥:商品170個(売価@¥960)につき得意先より予約を受け、商品代金の全額を予約金として先方振出の小切手にて受取った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・売上・前受金

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題⑦:タクシー代:¥2,600・はがき代:¥6,200・コピー用紙代:¥7,800を小切手振り出して支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・旅費交通費・通信費・消耗品費

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題⑧:株式会社今宮商事の株式を¥476,000で購入し、その代金は当社の普通預金口座から振り込んで支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・有価証券

※※④と異なり「株式の購入や売却は(有価証券)とします」

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題⑨:固定資産税¥273,800が普通預金口座より引き落とされた。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・租税公課

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

例題⑩:得意先AK商店へ現金¥7,000,000を貸付け、当店の普通預金口座より振込みにて送金した。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・貸付金

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
    

○○預金の例題解答解説

例題①:商品配達用の車両を¥800,000で購入し、代金は全額小切手を振り出して支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・車両運搬具・当座預金

◎「小切手振り出し・結果」は、当座預金のマイナス(貸方→)へ記入

◎「車両の購入・原因」は、(←借方)が開いているので記入

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
  車両運搬具   800,000  当座預金「減った→」   800,000

例題②:KH商店より甲商品を@¥360で700個仕入れ、代金のうち¥52,000は現金で支払い、残りは小切手を振り出して支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・売上・仕入・当座預金

◎「現金の支払:貸方→」「小切手振り出し:貸方→」となる

@¥360×700個=¥252,000の仕入れとなる

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   仕入   252,000  現金「減った→」
当座預金「減った→」
52,000
200,000

例題③:SS商店へ 甲商品を@¥680で700個売渡し、代金のうち、半分は現金で受け取り、残額については、同店振り出しの小切手を受け取った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・売上・仕入・当座預金

※※簿記の問題文では、当店=自分・同店=相手店、今回はSS商店 の事を表します

◎@¥680×700個=¥476,000

◎「同店振り出しの小切手=(現金)扱い」

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   現金 「←増えた」   476,000   売上   476,000

     ↓この仕訳はNG:「現金」も「同店振り出し小切手」も(現金)なので金額はまとめて記入すること。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
現金
現金
238,000
238,000
   売上   476,000

例題④:株式会社設立に際し、株式500株を1株当たり¥20,000で発行し、その全額が当座預金口座へ払い込まれた。(500株×@¥20,000=¥10,000,000

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・資本金・当座預金

※※「株式の発行=(資本金)とします」

◎当座預金へ払い込まれた=当座預金の増加=←借方 へ

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   当座預金 「←増えた」  10,000,000   資本金  10,000,000

例題⑤:普通預金口座から定期預金口座へ¥3,800,000を振替えた。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・定期預金

◎問題をよく読むと普通預金:マイナス・定期預金:プラス ということがわかる。
カネの流れ  (定期預金) へ ←カネが流れた←(普通預金)より

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   定期預金 「←増えた」   3,800,000   普通預金  「減った→」   3,800,000

例題⑥:商品170個(売価@¥960)につき得意先より予約を受け、商品代金の全額を予約金として先方振出の小切手にて受取った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・売上・前受金

◎170個×@¥960=¥163,200

◎先方振り出しの小切手の受取=(現金)受取と同じ

◎◎学習前ですが「予約金として受け取った」時はまだ(売上)とはなりません。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   現金 「←増えた」   163,200   ※ 前受金   163,200
※ (前受金):まえうけきん 文中では 手付金:てつけきん とか 内金:うちきん とも表現される。今回は「もらった:受け取った」ので(前受金)・逆の立場だと「払った:渡した」ことになり(前払金)まえばらいきん となる。
※ 検定によっては同じ意味をもつ異なる勘定科目が指示されたらそれを使う。

例題⑦:タクシー代:¥2,600・はがき代:¥6,200・コピー用紙代:¥7,800を小切手振り出して支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・旅費交通費・通信費・消耗品費

◎ 「小切手の振り出し」=(当座預金)を「貸方→」へ

◎タクシー代:(旅費交通費)・はがき代:(通信費)・コピー用紙代:(消耗品費)となります。

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
旅費交通費
通信費
消耗品費
2,600
6,200
7,800
   当座預金
  「減った→」
   小切手振出→
   16,600
 ←借方の勘定科目の中の順番は不問ですが、勘定科目と金額の組み合わせは間違えないようにしましょう。

例題⑧:株式会社今宮商事の株式を¥476,000で購入し、その代金は当社の普通預金口座から振り込んで支払った。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・有価証券

※※④と異なり「株式の購入や売却は(有価証券)とします」

◎「普通預金より振り込んで支払った」=(普通預金)が減ったので「貸方→」へ

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   有価証券   476,000  普通預金
 「減った→」
   476,000

例題⑨:固定資産税¥273,800が普通預金口座より引き落とされた。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・租税公課

◎「固定資産税」=(租税公課)とします。

◎「普通預金より引落」=(普通預金)の減少です・「貸方→」へ

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   租税公課   273,000  普通預金
 「減った→」
   273,000

例題⑩:得意先AK商店へ現金¥7,000,000を貸付け、当店の普通預金口座より振込みにて送金した。

※使う(かもしれない)勘定科目:現金・普通預金・当座預金・貸付金

◎カネを貸したら(貸付金)

◎「普通預金より振り込み払い」=(普通預金)がやはり、減少「貸方→」へ

日付  借方科目    金  額    貸方科目    金  額  
   貸付金   7,000,000  普通預金
  「減った→」
   7,000,000

いかがだったでしょうか、では今回はここまでです、次回もよろしくお願いいたします。

簿記のお話ー3(商品売買について)

簿記のお話-1(現金について)へ戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました